1969年7月26日に公開された映画『少年』。
この記事では、映画『少年』のあらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想をご紹介します。
映画『少年』の予告編
ケガを負ったことから定職に就かずに暮らす男と、その息子のお話です。
男の同棲相手との間に子供が生まれますが、家族は「当たり屋」として生計を立て、全国を転々としていきます。
車の前に飛び出す恐怖から逃げ出したくなる少年ですが、逃げた後に味わうことになる孤独を考えると、家族の元に帰るしかありませんでした。
映画『少年』のあらすじ(ネタバレなし)
ある日、一人で泣く練習をしている少年がいました。その翌日、その少年を含め家族四人が街に散歩に出かけます。
交差点で、母親が一台の車めがけて飛び出しました。家族は、「当たり屋」として生計を立てているのでした。
そして、少年を当たり屋にして全国行脚をし、少年は新しい場所で当たり屋として車にぶつかりにいきます。
日本全国で当たり屋として、事故を起こす日々でしたが、ある日北海道での事件で少年の一家が逮捕されることになります。
少年は、その犯行を否認しましたが、自分の生きてきた人生について涙を流すことになります。
映画『少年』の解説
この作品は、1969年7月26日に公開され、低予算で作成された映画の作品となっています。上映時間は、98分となっています。
実際に起きた「当たり屋一家事件」をモデルにしています。
全国縦断してのロケを行ったロードムービーです。
第43回キネマ旬報ベストテンで日本映画部門第三位を受賞しています。
作品のモデルになっているのは、1966年の実際の事件で、自動車の前にわざと飛び出して車にぶつかり、法外な治療費を請求するという事を、10歳の子どもにさせていたために、注目されました。
映画『少年』のみどころ
まだ幼い少年が、自分たちの家族のため、自分が生きるため、自分の居場所を確保するために、車の前に飛び出すという、恐ろしいことをしていたというのが、実話というところに胸が痛みます。
演技とは言え、車の前に飛び出すシーンでは、見ている側がドキドキ、心臓が止まりそうになります。
様々な土地での映像が映し出されるので、それぞれの土地の美しさというのを作品の中で見ることができます。
そして、北海道の雪景色などでは。少年の置かれている辛い環境と、雪の中でのシーンなどの美しい風景と、悲しい現実とを見ることで、より一層作品が考え深いものになります。
映画『少年』の感想
このお話が実話を元に作られているというのを考えると、始めから終わりまでとても辛い気持ちになります。
家族とは何なのか、生きるためにはこれしかなかったのか、少年にもっと他の生きる道はなかったのかなど、考えさせられました。
映画『少年』の登場人物・キャスト
父:渡辺文雄
母:小山明子
少年:阿部哲夫
チビ:木下剛志
運転手の一人:尹隆道
映画『少年』のスタッフ
監督:大島渚
脚本:田村孟
製作:中島正幸、山口卓治
音楽:林光
撮影:吉岡康弘、仙元誠三
編集:白石末子